箪笥の中の秘密について

箪笥の中の秘密について

男に振られて自棄になり、年下の女友達と酒を飲みに出た日のことであった。ビールをぎゅーっと流し込んだ後、女友達はこう言った。

「今のおもちゃ、すげぇっすよ?」

中ジョッキ半分で、しょっぱなからおもちゃの話しである。濃い。

もちろん我々は大人であるので、おもちゃと言ってもトミカだとか、レゴブロックだとか、プリキュアのなんちゃらではない。頭に「大人の」が付くやつのほうだ。

彼女曰く

「もう彼氏とかいらないっすね」

「だっていつでも欲しいときに欲しいだけくれるんすよ」

「しかも動力電気だけ」

「固くて長持ち」

「終われば無口」

だそうである。

いやぁぁぁ…なんかそういうのは抵抗が‥と言ってる私の話をフル無視して、怪しげなサイトのリンクまできっちり送りつけてきたので、酔っぱらって帰った自宅のベッドにて寝る前までそのリンク先サイトを探検すること30分。

そのネットショップのお店が言うには、

それらを買う事は「女性性の活性化」であり「自分の体を知ることはたしなみ」であり「全然恥ずかしい事」ではなく「お洒落と同じ」楽しんでやることなのだそうだ。

…そうなの…?

色とりどりの棒を眺めながら、これらをお洒落と同じと言い切る乱暴さすげぇな、っつかよくその売り文句で社内でプレゼン通ったなとか思った。

あと、種類がありすぎる。元は肌色のはずなのに色とりどりすぎる。原作から離れすぎてる。もはや違う作品。原作への敬意が感じられない。

しかもなんか棒にあれやこれや付属しすぎ。突起と言う突起が飛び出している。武器か。

いやもう、私、初期装備のこん棒みたいので良いんですけど…。(村の中をウロウロして一生終わるタイプ)

とかなんとかグダグダ言いつつ、なんだかんだで私も大人ですからね、えぇ。それなりに興味はありますから。

「初心者向け♡」みたいに書いている奴を「ぽちっ」としまして。

いや、なんつぅかべ、べ、別にそんなに欲しいわけじゃないけど、友達も勧めてくれるし?話のネタにもなるし?私の好きな青色だったし???

と言うわけで無事購入。

3~4日ほどすると小さな段ボールが届いた。

宅配伝票には「化粧品」と書いてある。そうだよね、まさか「大人のおもちゃ(初心者用・青)」とか書けないよね、うん。なんかありがとうね。

しかし届いたはいいものの、一人の時間になる時がなかなかなく開封せぬまま数日経過。

それまで「どうしよう、段ボールの中で勝手に電源ついてガタガタ動いたら…砂ネズミ買ったとか言えばいい……?」なんて気が気ではなかった。「バイブを持っている女だ」と言う事がこんなに私に緊張感を持たせると思っていなかった。何事も経験である。しなくてもいいタイプの経験のような気はしている。

そしていよいよ一人の日。時は満ちた。いざ開封の儀。

小ぶりな段ボールを開けるといかにも女性向けというような綺麗な梱包用資材に包まれてそれは出てきた。思った以上に青かった。思わず「青っ!」って言った。そしてまじまじと見つめること10秒。

「…………

で…でかくねぇ…?」

もちろん私が頼んだのは件の初心者用である。「初めて買うなら、これ!」というキャッチコピーがついていた。

まさか発送ミス…?

と思って中に入っている明細見ても「初心者用」って書いてある。

いやいや、と。いやいやいやいや、と。

初心者舐めんなと。

どう見たって歴代の彼氏よりデカいぞ、と。そして長いぞ、と。

もしかしてだけどこれが初心者と言われるサイズなの…?今まで私の恋人たちが謙虚なサイズだっただけ…?

「入る…か…?」

ちなみに私のそのあたりを通った人生最大サイズの物と言えば、子どもである。

新生児は通った。新生児の頭の直径は約10cm。青いブツを見る。さすがに10cmは無い。

さすがにいけるかー、と思いつつ、出て来る一方の赤子と、何度も出たり入ったりするこいつとを同じ世界線で比較していいのだろうかと言う不安も少々。

怖がっていてもしょうがないのでとりあえず電池を入れ電源を入れてみると、ブツは勢いよく、ぶごごごごごごごご…!と振動した。おおおおおお…!!!

思いのほかすっげー震える。マナーモードとか言うレベルじゃない。なんか死ぬ間際のセミ掴んだ時、こんな震え方したような。

震え方にも種類があり、ボタンを押すたびに変わるらしい。

どれどれ、と思い何回かボタンを押すと、震え方が変わった。

ぶごごごごご…とか、ぶごっ…ぶごっ、とか、ぶーごっ!ぶーごっ!とかある。

「お好みの震え方を選んでね!」とかかいてあるけど、分かんないよ私…恋人のちんこ震えたことないもの…。

そしてもう一つのボタンを押してみると前後に動くのだ。これも種類がある。いやだから分かんねぇって。前後の動きをリズミカルに使い分けるような丁寧な人いなかった。そしてそんな丁寧な人なら、私とは絶対付き合わないだろう。

ちなみに前後に動かすとギーシャギーシャギーシャ!!!っつって途端にうるさい。

築30年以上の壁の薄い我が家なので隣に聞こえそうな気して集中できそうにないけど

「もしかしてそういうのも込みのプレイ…?」という思いもちらっと。

その他にもまだボタンがあった。ボタン多すぎ。もう一つのボタンを押すと人肌に温まるようだ。細やかな心遣いである。

あとなんか吸うやつも付いてる。全部盛りにもほどがある。ここぞとばかりに欲望詰め込んでる。

いやいや。ずっと観察していても変わらない。何事も行動である。案ずるより産むが易しっていうか。

死にはしない。こちとら経産婦である。なんならひねりつぶしてやるぞ、と。その、ぶごぶご言ってるのも今のうちだぞと。動き止めちゃうぞ、と。

そんな感じで意気込んで、いざ対決の時。

出陣。

(綺麗な桜を見てお待ちください。)


(5分後。)

結果を先に言おう。

ごめん、舐めてたわ。

なんつーの?「震え方のパターンが選べます」とかなんとか考える暇もなかった。「うわうわうわうわ!!!!」みたいになっているうちに、終わった。なんかもう色々と。

すげぇ震えたし、すげぇ動いてたし、すげぇ吸われた。もう盆暮れ正月一緒に来たくらいの祭感はあった。人間ならおおよそ不可能な「入れて動きつつ吸う」みたいなアクロバティックな事を淡々とやってのけるのである、確かにこれはすごいのかもしれない。祭りだ。わっしょいわっしょい。

ならいいじゃねぇかと。最強の相棒を見つけたぞと。彼氏なんていらねぇぞ、と。

私がそう思ったかと言うとそれがもう全然思えなかった。(5分でやられたくせに。)

いや、なんつーかもちろん「すべてやり終えた」のは間違いないって言うか、気持ちいいか気持ち悪いかでいったら断然気持ちよかったし、文句言っていた割にきっちり最後まで走り抜けて白いゴールテープを切ったわけですけれども。ちなみに震え方は「ぶごっ…ぶごっ…」だったんですけど。(要らない情報)

ただ「楽しいか楽しくないか」で行ったら、楽しくなかったんだよねぇ…。

そりゃあ最後まで変わらぬクオリティは素晴らしいと思うし、なんなら細やかな動きのバリエーションとかね、色々披露してくれるし、暖かいし、吸うし(強調)文句ないような気がするんだけどさ、

なんか好きな人とことに及んでいる時の、「かゆいとこに手が届かない感」みたいなの、あるじゃないですか。

早いとか、柔いとか、小さいとか、逆に遅いとか、伸びかけの髭がすれてひりひりするぞ、とかさ、どうしてお前は右手を動かすと左手が止まるんだ、とかさ。貧乳だからって乳をおざなりにするな、とかさ。

なんかそういうのぜーんぶひっくるめて、楽しいと言うか…ないです?

なんかそういうまどろっこしさを全部すっ飛ばして「はいはいはい!震えるよ!突くよ!吸うよ!ね?!こういうの好きでしょ??」

みたいに来られると意外にお腹一杯なんですよ。情緒もクソもねぇと言うか。

盆と正月は分けたい派なんで、私。はい。

と言うわけで使用後ハンドソープできれいに洗い、(キレイキレイ)専用の袋に入れて箪笥の奥の方に突っ込んだまま奴とはもう会っていない。会っていないけど確実に同居している。しかもルームシェア。

私が予想外な時期に死んでしまったらこいつはどうなるんだろうか、と思ったら早いところ家を追い出したいのだけど、なんとなくまだ一緒にいる。居るから私はまだ死ねない。

今日も私が生きる意味なんて、そんなもん。

こいつまた振られたってよ?

こいつまた振られたってよ?

すきな男に振られた。

今期2回目。

いやどんだけ振られるのかと。3ヵ月に1回ペースで振られてんじゃねぇかと。ドラマかと。

でも人間ってすごいですね。

1クールに1回ペースで振られているとダメージがほぼゼロに近い。びっくりする。初心が消滅してる。慣れって怖い。

私だってもっと泣いたりしたいよ。

よよよと泣き崩れたり、ショックのあまりご飯が食べられなくなったり、仕事やれる精神力じゃなくなりたい。そして失恋休暇取って、どことも決めずに電車乗って知らん原っぱで「好きだったんだからなー!バカヤロー!」とか叫びたい。

そして知らん男に「どしたん?話し聞こか?」って言われたい。

まーでもなんか、私っていつ何時も私じゃないですか。

今日も元気に食べましたし、なんならお昼にペヤング食いましたし(塩味)(カロリー爆弾)、何ならいつもよりテンション高めで仕事しちゃったよ、どうなってるの私の情緒。

いや本当、マジでちゃんと好きだったのよ?本当に本当に。

まぁ、なんとも宇宙人みたいな人で。

イケメンなんだけど、いや、別にワイ面食いじゃないし、もう見た目がどうとかじゃなくて、なんか未知の生き物みたいな感じで面白くて。あぁぁこの人と付き合ったら面白いだろうなぁぁなんて思って。

若い頃は好きになったら「好きってばれないようにしよう…」「ちょっとそっけなくして焦らせよう…」なんて姑息な真似をしてどうにかしようと目論んでいたわけですけれども、

もう44歳よ、私。

もうね、心に浮かんだことが無意識に勝手に口から出ちゃうの。口が緩すぎて。口どころかいろんなところがゆるゆるすぎて。私の心のドアと言うドアが開いてるしカギは壊れてる。

だからもう、出会って1か月後には「好き!付き合いたい!」って言ってたし、駆け引きなんか、え、かけ…ひき…?KAKEHI…KI…??What…?みたいなIQ2位の感じだったし、

もう全力だったわけです。

ただただもう、あー、かわいいねーかわいいねーってガバガバセキュリティの私のまま彼を愛でていたわけです。

でもって「とりあえず年末までは頑張って付き合ってくれなかったら諦めよう」なんて思っていたわけですけど、ふと思ったんですよね。

毎日連絡したり、時々電話したり会ったり、まぁあんなことやこんなことしたりして、もう付き合っているのと変わんなくね?

なんで?なんで付き合わねぇの?もう付き合って良くね?みたいな。

変わるか?変わんねぇだろ。っつう。

縄文時代だったらこんなに離れた場所に住んでいるあの人に気持ちを伝えようと思ったら何日かかるか分からんのに、現代は便利なものがあるんですよ。LINEって言うんですけどね。

思い立ったら吉日です。

まぁ、そう思って吉日になったこと私の人生で一度もないんですけど。

その現代の便利システムを使って次のような旨のLINEを送りました。

・私と付き合えないのか。

・このままずるずるするのは嫌なのではっきりしないならもう会わない。

もうこの二点だけ。

そうしたら相手から返事がきました。たくさん書いてくれたけど、要点はこう。

・君の事は好きだけど、今はだれとも付き合う気がない。

以上。

ちなみに人生で初めていわれたんですよ、「好きだけど、今はだれとも付き合う気がない。」

巷で聞くこれ、やっぱりメジャーなんだー!ってちょっと盛り上がりました、早朝一人で。目くそ付けたままの顔で。

いわゆる「あっ!これ進研ゼミでやったところ!」です。初めて出ました。

まぁ、こうして私は戦いに敗れたのでございます。

カツオくんバリに「ちぇー!」って言いました。こちらも人生初です。

ただなんて言うのか、とてもスッキリ。

付き合っていなくてもまぁいいかと思ったり、いやでも何かやだな、と思ったり、どっちつかずだったのだけど、ふと「あ、やっぱりいやだわ。」と思ったので、そこから解き放たれた安堵なのでしょうか。あとは駆け引きするでもなく目いっぱい素直な態度でいられたのがとても気持ち良かった。

いやーでもさ、結婚じゃないんだよ?

ただ「お付き合いしましょう」ってそんなにハードル高いか?

なんだ、お前は「お付き合いしましょう」に前世なんかされたんか?

「お付き合いしましょう」に村を焼かれたんか?

「お付き合いしましょう」を食ってのたうち回るほどの食あたりでも起こしたんか?

とか正直思うわけですけども。

まぁでもシンプルに彼は私の事を「付き合うほど好きではない」って事なんでしょうね。

そこらへんのことはこちらにも書いております。(「失恋の辛さから目を覚ます方法」

付き合いたいって思うほど相手は私を好きにならなかっただけ。

それ以外の何物でもない。

頻繁に関わっていたからちょっと寂しいけど、関わらなければ寂しい気持ちもすぐに薄れていって忘れちゃうんだろうなぁ。それも寂しい。

とりあえずここそこで「振られた!」「振られたからおごって!」って言ってたら「おごってやる!」という友達がいたので明日飲みに行きます。

いやー、楽しかった!!

もうきっと話すことは無いけど、彼にもう一言だけ言うとしたら、なんていうかな。

ありがとう、楽しかった、だけでもう何もないような気がしていたけど。何だろう。もっとなんか言いたいことがあったかな、でも根こそぎ伝えていたしな。

あー。あえて言うとするならだけど、

いや、言うっつーか聞きたいことだけど、

「あのね?

まずパンツをはいた後に靴下はこう?なんで右の靴下はいて、パンツ履いて、その後に左の靴下はくの?なんで靴下を1部と2部で分けるの?なんで?」

ってことくらいかなって今のところ思ってます☆

彼にも幸あれー!(それより私に多めに幸あれ☆)

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私の事を好きになる文章

私の事を好きになる文章

WEBライティングの勉強を始めてから、仕事になる文章には必ずそこに目的があると知った。

どうも、徒然です。

はて、私の文章はどうだろう。

私の貧乳がどうだとか(おっぱいについて考える)私の下半身のムダ毛事情とか(私のAmazon)、

そんなことこの世の誰が知りたいんだ、と。ババァの毛なんかどうなっていても興味ねぇ、と。

そんな声が各地からぞくぞく届いておりますので、今回は目的がある文章を書くと決めた次第でございます。

目的

ターゲット…このブログを読んでいてまだ私に対して好意がない人、または興味がない人

目的…その人たちに私を好きにさせる。

最終的な彼らに起こしてほしいアクション…私との結婚。(性別不問。)

と言うわけで全力で私をプレゼンしていきますので、どうか一字一句、私の息吹を感じて読んで欲しい。行きます。

プレゼン開始

「あーあ、彼女が欲しいけど全然好みの人がいない…」

なんてぼやいている人はいませんか?

いざ結婚したい!と思っても理想の相手にはなかなか会えませんよね!

でもそれは本当でしょうか?

もしかしたらその人の事を良く知らないだけで、知っていけばあなたの運命の人はすぐそばにいる!なんてこともあるかもしれません。

そんなあなたにおすすめの物件が私、【徒然(44歳・仮名・バツイチ)】です。

一見すると事故物件ですが、今回はそのイメージを払拭すべく【徒然(44歳・仮名・バツイチ)】を彼女、もしくは嫁にするメリットを挙げていきたいと思います。

徒然(44歳・仮名・バツイチ)のおすすめのポイント

  1. メンタルが安定している
  2. 出世する
  3. 奇跡が存在する

それではひとつづつ解説していきますね!

1.メンタルが安定している

メンヘラな彼女だとあなたも精神的に大変!

その点【徒然(44歳・仮名・バツイチ)】はメンタルがばっちり安定しております!

ただただ陽気。多分皆さんが想像している5倍は陽気です。

そしてびっくりするほどの早口で常人が伝えるのに1分かかる案件も私なら15秒で喋ることが出来ます。あなたの大事な時間を奪いません。おそらく皮膚呼吸かなんかだと思います。

そして酒好きではありますが、酒癖がめちゃくちゃ良いです。変わらず陽気です。変わらずと言うかなんか延々と喋っています。1.75倍速くらいで喋ります。

そういう時はちょっとした環境音楽だと思ってくれたら問題ないと思います。

ちなみに飲んでいない時でも「え…?徒然さん、飲んでる…?」って聞かれるくらいなので、エニタイムエニウェア徒然クオリティをお約束します、ところでなんで学校行事で酒飲んでるって思ったの…?ママ友の千葉さん…?(LINEください。)

2.出世する

そして私といるとあなたは必ず出世するでしょう。

例えばあなたの仕事が山積みで、自宅に仕事を持ち帰ったとする。帰ったら自宅に峰不二子みたいな女。

そんな峰不二子に

「ンあなたぁ~ん、お風呂にするぅぅん?ご飯にするぅううん?それとも…」なんて聞かれたらどうします?

そんなの「私私私!!!絶対私!!!」ってかぶせ気味に答えるじゃん?

仕事は山積みなのに。明日会議なのに。新製品のプレゼンなのに。

頭の片隅にあるそんな思いをも排除する峰不二子、峰不二子っつーか主に峰不二子の乳。

駄目だと思いつつあなたは峰不二子をたらふく召し上がってしまい、そのまま寝て、未完の資料を前に震えながらプレゼンする羽目になって、課長には「なんだね、あの出来は。君の出世は無いと思ってくれ。」なんて怒られて、自棄になったあなたは退社後酒をしこたま飲み、ベロベロになった足で犬のうんこ踏むに決まっているんです。絶対そう。

それに比べ私を嫁にしたらどうでしょう。

あなたが家に帰れば、私がいる。

土産物屋においてあるこけしのようなのっぺりとしたシンプルな顔だち。

峰不二子がデミグラスソースだとしたら、私は無味。素材の味を存分に楽しめる。

あとさー、たしかに峰不二子って巨乳だし美人だけどさー、凹凸が激しいから肉と肉の間にゴミとか汚れがたまってから、絶対。品質管理が大変。

多分お風呂入ってもおっぱいが邪魔で洗えていないとこいっぱいあるからね、あいつ。臭いよ、多分乳の下とか。

対する私、完全にフラットなボディ。

凹凸がほぼなく汚れもたまらないからお手入れも簡単。たまに臭いときは重曹とかに付けたらいいんじゃないかな?素材が丈夫だから。(ちょっと毛羽立つ。)

そしてあなたの仕事を邪魔する色気に至っては、44年かけて極限までそぎ落としました。44年かけて見つけた答えです。

これで自宅に戻ってもあなたは何にも惑わされることなく仕事をこなし、(私はほぼインテリアと化し)次の日のプレゼンでは「とても良かったよ!これで出世コース間違いなしだな!」などと課長に褒められ、ウキウキスキップで帰った帰り道で1億円とか拾っちゃうからね、これもすべて私のおかげ。

3.奇跡が存在する

「とかなんとかいってもさー、徒然って美人じゃないじゃん。俺(私)美人が好きなんだよねー」とかほざいてるそこのあなたに朗報です!お耳をかっぽじってお聞きください!

確かに美人じゃないです。ブスは三日で慣れるとかいうあの技も使いません。

こちとら何年不美人やってきてると思ってんだよ、似ていると言われた唯一の有名人は田村亮子(谷亮子)だかんな、舐めんな。

でもさ、見た?私の事360度くるくる回してみたことないでしょ?

私、めちゃくちゃ可愛く見える角度があるんですよ。角度にして10度…?いやごめん、8度くらいなんだけども。

その8度をあなたに見せ続けるよ。絶対に残りの352度はあなたに見せない。寝てる時でも、ご飯食べる時でもイチャイチャするときでも、私はその8度であなたと人生を共にするよ。

そうしたら私が美人なのは8度であっても、あなたから見た私は100%美人じゃん?「この8度以外は見たことないけど、多分同じクオリティだろう」みたいな脳内補完起こるじゃん?

ね?解決でしょ?結婚しよう。怖くない。

死ぬまで家中くるくる回りながらあなたの後ついていくから。

45分の1の私であなたに挑むから。

まとめ

いかがでしたか?

今までいまいち魅力を感じなかった【徒然(44歳・仮名・バツイチ)】に興味がわいてきたのじゃないでしょうか?

もし興味がわいたよーって方、もう好きになっちゃったよーって方は、何らかの方法で連絡ください。伝書バトなんかがロマンティックで二人の仲を盛り上げるんじゃないかな?って私は思います。

今、ちょうど手元にハトを切らしてる方も、大丈夫!ご安心ください。

私が我が家の裏の山で明日にでも捕まえるんで。

(土鳩かキジバト、お好きな方をお選びください。)

失恋の辛さから目を覚ます方法

失恋の辛さから目を覚ます方法

失恋したことありますか?

あるあるある、私ある。しかも3週間前。ほやほや。まだあちあち。

思い出が多いほど楽しかった時の事を色々思い出し、なんで‥どうして…あの時こうなら…あの時こう言っていたら…なんてぐるぐるして、それまで見ていた景色も色が抜けていくような、全世界から自分が否定されていくような、ちょっと突けば泣き出してしまうような。そんな気持ちだよね、失恋って。

わかるー!!!

そんな時はマジで何もしたくない。布団にくるまってミノムシになっていたい。

思い出に浸って涙ドゥワー流しながら後悔したり、そのうちあまりの辛さに精神がガンギまってきて「もしかして…今頃彼も後悔してるかも…!」なんてよう分らん偽ポジティブ教に入信してしまったりする。

こういう時に人は高い壺とか買わされるんですね、多分。

でも、まず待て。

ちょっと待てと。落ち着けと。

何故失恋が辛いのか本当に考えたことありますか、と。

彼が好きだから、彼がいなくて寂しいから、本当にそれが理由ですか?と。

愛していたら愛していただけ辛い、そう思うかもしれない。でも本当にそう?

それでは失恋して辛いとこからマジで急に元気になる方法です。

行っくよー!!

失恋の辛さから立ち直る10の方法

1・まず何が辛いのか考えてみる。

「いやそんなの好きだからに決まってるじゃん‥何言ってんのこの中年ババァ…」

と思った人、手を挙げて。どうも中年ババァです。背負い投げしてあげるからこっちおいで。(柔道黒帯。)

好きだからとか。好きだから辛いとか。

好き、って言う気持ちって本来はポジティブな感情じゃないですか。

でも今あなたは辛い。幸せと感じられない。何故か。

「好き」だから辛いのじゃなくて、辛いのはその「好き」の言葉の先じゃない?

「”彼の事こんなに好き” なのに彼は振り向いてくれない」

「”彼の事好き”だけど 彼は本当の私を理解してくれない」

「”彼が好き” なのに彼は会おうとしない」

結局は

「彼の事好きなのに、彼はなんで私を好きじゃないの!?」

なんですよね。普通に。

じゃあ何故それが辛いか。

彼が素敵で、彼には価値があって、そんな彼から高い評価を出されたら「こんな素敵な人から好きになってもらえるなんて私ってすごい!」って思えるから。

結局評価です。自分の価値を確かめるために評価を得たいんです。

だから「なんでこうしてくれないの???!」って叫ぶんです。思い通りにならなくて苦しいんです。

まずそれを自覚する所からスタート。

2・さぁ目をかっぴらいて現実を見よう

今の状況を冷静に見つめてみます。

・彼の事を好きだったけど、告白したら「人としては好きだけど…」と振られた。

・何年も仲良く付き合ってきたけど「もう女としてみることが出来ない」と言われ別れた。

・「今は仕事に集中したいから付き合えない」と言われた。

まぁまぁいろんな状況があるでしょう。

ここで「人として好き」とか言われちゃうと「え、人として好きならじゃあまだ可能性あるんじゃ…!」とか「もっとセクシーになれば…!」と小手先の小悪魔テクニックみたいなのを身に着けようと躍起になったりとか、「仕事が忙しいだけで、それが無かったら私の事好きなんじゃない…??」とか思い込んで「一度振られた人を振り向かせる方法」とか言う怪しい情報を夜な夜な求めてネットの波で溺死寸前とか。(身に覚えがあるだろう。私はあるよ。)

でもね、ここ大事なところなんだけど、振られた理由なんてどうでも良いと言うか、そもそも男性が振るときに言う耳障りのいい言葉なんて信じちゃ駄目。彼はあなたを選ばなかった。それだけ。

もし彼にとってあなたの優先順位が一位ならどんな状況であろうと振られてないんですよ。

仕事が忙しかろうと、あなたが色気むんむんじゃ無かろうと、振られてないんです。だってあなたを失うの嫌なんだだもん。それが何より彼は怖いんだもん。

「振られた」「別れを告げられた」

彼がその理由をあれこれ言っていても、その時点でもうそれ以上の事実は何もない。

何かを期待するのはよそう。

3・彼がいないから寂しい、というのが勘違いだと知る

彼がいないと寂しい。

いやいや、いるいる、めっちゃいる、彼は生きているよ。今この時にも。日本で。世界で。

今あなたが泣いているこの時にも、胸が苦しくてご飯ものどを通らない、とか言っているその時にも、彼は多分鼻くそほじってたり、YouTube見て笑っていたり、友だちとお酒飲んで笑っていたりするわけです。居ます。全然生息しています。

でも何故かあなたは寂しいとか悔しいとか辛いとか感じる。生きているのに。彼は確かに息をしているのに。何故か。

それは「私に優しくしてくれて、私と一緒にいて笑ってくれて、私の事を好きだと言ってくれた(または好きなそぶりをしてくれた)」彼が恋しいのよ。そして今現在はそうじゃないことに悲しかったり悔しかったりしているわけだ。

本来は最初からあなたの事を1㎜も思ってくれない彼ならば居なくてもあなたは全然寂しくはないんだよね。

そして安心して。振られた時点で「彼はあなたの事を思ってくれていない彼」だから。

あなたが優しくされた過去の記憶が手放せないだけ。その楽しかったころの自分(自分に価値があると思えた頃)に執着しているだけなのよ。

今と過去は繋がっているようにみえるけど、本当はただ連続してある別個のもの。

ここを間違えちゃいけない。

4・恋愛初期だから辛いと言う事もある

こういうこと言うと「あなたは本当の恋愛をしたことがないんでしょ!私は本当に彼の事を愛していたから云々…!」って言う人もいるんだけど、

まぁ、恋愛初期ってどっちかと言ったら発情期じゃないですか。

直接的に言えば「こいつとやりてぇ」ってのが恋愛なわけです。(まぁ性的なものを感じずに恋愛する方もいるけどそこは割愛。)

その後時間をかけて愛になっていったりならなかったりするんでしょうけども、最初は「オラ、こいつとなんとかなりてぇ…!」ってのが始まりだったりする。

その発情期真っ盛りに振られたらそりゃ苦しかろう。

だってやりたかったのにやってないし。やりたかったし。思い残しがいっぱい。

一回やったらやったで「もう一回やりたい」となるし「もっと自分を見て欲しい」とか欲望詰め合わせ福袋ですよ。

だから後悔するし、もっとこうすれば…とか今更どうしようもない事を延々と思いつめることに嵌ってしまう。

5・失恋で空いた穴は男では埋まらない

振られた後に「失恋を癒すのは新しい恋!」とばかりに出会いを求めたり、とにかく何かに夢中になりたくて好きでもない男を「好きかも…」と錯覚したがったり、あるあるだと思うしそれで気がまぎれる人もいるかもしれないのだけど、私は違うと思っている。

ちなみに最近失恋した私も一瞬そのモードになりかけた。やめたけど。

本当に欲しいのは新しい男の人じゃなくて、「自分には価値があると思わせてくれた人」なんだと思う。

もっと簡単に言えば皆「自分には価値がある」と思いたいし、逆に「誰かに素敵だと言われないと自分に価値があると思えない」と思っているという事でもある。

自分ひとりじゃ自分を素敵だと思えない、何よりそこが失恋が辛い、立ち直れない、大きな1つの原因となっていると私は思う。

6・未練とは

未練って言うのは「もしかしたらこの後復縁できるかも…!」とか「離れた事で私の大事さに気付くかも!」って思っているうちは断ち切れないです。そしてそれはほぼただの都合の良い妄想。

自分が今の辛さから逃げるための姑息な手段でもある。一瞬救われたような気がするからね。

だーかーらー!振られてんの!君じゃないよ!って言われてんだから!もう無いの!可能性は!

その後、相手も寂しい夜になんとなく連絡してくるかもしれない。

それは「寂しいときに声を聴きたいのは結局君だった…!」とかいうのではなく、「まだ俺の事好きだから連絡したら嬉しいよね?」だからね。

いやいや、好きだったら元気いっぱいの時にも連絡して来るだろ。

だから一回振られたら、もう迷わず連絡手段を断ちましょう。

学校とか職場とかまだつながりがある場合はそうもいかないかもしれないけど、そうではないなら自分も相手も物理的に連絡できない方法をとった方が良い。

それができないから「まだ連絡来るかも…」って期待してしまう。

連絡手段を断てば絶対連絡が来ない事を分かっているから、「待つ」って事をしなくなる。

待たなくなると、自分主導の生活に結構早く戻ることが出来るし、「あぁこの恋は終わったのか。」と妙に静かな気持ちになれる。

終わった恋にちゃんとあなたの手で土をかけてやろう。

7・世界は広い

もうこれはここそこで使い古された言葉ではあるけれども、再確認の意味で言う。

「男は彼だけじゃない」し「彼が世界全体の意見ではない」。

出会える人だって限られているのに、彼が全てなわけないじゃん。

毎日毎日人生の残り時間は減っていくのに、駄目になったものにすがってただただ虚無な時間を過ごすなんて恐ろしい。その間に年は取るし、しわは増える。

その時間を使ってできることクソほどある。

振られたときは「私って魅力がないんだ…」って思いがちなんだけど、

これは仕事の面接と一緒で、お互いのニーズが合わなければ受からないし、むこうが合格だっつってそれがめちゃくちゃ有名な会社でも、条件が合わなければ断ったりするじゃないですか。それだけです。あなたの価値とは一切何にも関係ない。

合わなかっただけ。シンプルー。

8・幸せになりたいだけ

結局「彼と復縁したい!」「振り向かせたい!」って思っているのって結局「幸せになりたい…!」ってだけなんですよね。

「彼がいないと幸せになれない!」とか、

んなわけあるかい。と。その男何者だよと。会わせろ、と。

彼といたときが楽しかったから、あの時が幸せだったから、今の苦しさから逃れるためには彼ともう一度そういう関係になるのが手っ取り早い(いや本当は難しいんだけどね)ってだけなんですよ、それが。

苦しいのは悪い事じゃない。でも苦しみの正体を分かっていないといつまでも斜め上方向の努力を重ねることになるんです。「振られた彼を振り向かせる方法」とか変な情報ばかり見ちゃってさ。変な駆け引きとかしちゃって。

あなたは幸せになりたい。笑って生きていきたい。

でもその手段は本当は彼と一緒にいる事だけじゃない。もっともっとたくさんある。

まずそれを分かって欲しい。

9・幸せに生きるためには

幸せと言うのは「今」生まれるもので、過去の「幸せだった記憶」は今の幸せとは違う。

相手の状況と自分の状況といろんなものが混ざりあって、たまたまその時お互いの幸せが重なっただけ。それは素敵な事だし、素直に喜んでいいのだけど、それにいつまでもしがみついてはいけない。

一歩外に出たらそこの角で今まであったこともないような素敵な人と出会うかもしれない。その時の事を考えたら泣き腫らしてパンパンな目、ご飯も食べれなくてげっそりした血色の悪い顔、自信のないおどおどとした自分、そんなの嫌じゃん。まず沢山泣こう。寂しいと、辛いと、自分の気持ちとガチで向き合おう。悲しいって思う気持ちをごまかさない。存分に味わう。いっぱい泣く。

そうしたらだんだんずっと泣いているのとか飽きてくるからまずご飯食べよ。

そして時間の許す限り寝よう。

このあたりで血色はだいぶ良くなってくるから、メイクでもすっかーってなって来る。

食べる事と寝ることは本当に大事。睡眠と食事を放棄している間は自分に対して虐待しているな、自分を責めているな、って思った方が良い。本当は何にも悪くないんだけど。

だからこそ食欲がわいてきたり、寝られるようになったら、「やるじゃん、私」て褒めてあげて欲しい。それって自分しか与えられない自分への愛情だもんね。

過去の幸せは思い出の中に置いておく。

とっとと元気になって今の幸せ狩りに行こうぜ!!

10・ちょっと冷静になったら

落ち着いて普段の自分が戻ってきたところで、今口に出していってみてください。

「私があげたい気持ちは彼は受け取ってくれなかったし、彼が望む関係も私には受け止められなかったなー。彼の事は大好きだったけど私たちは合わなかったんだな。よし、次行くかー」って。

だって失恋なんて複雑なようで、結局それだけなんだもん。

おまけ(私の場合)

つい3週間前に失恋した私なのですが、振られた後もお互いの希望で友達という関係に戻ろうとした。

でも結局うまくいかず、連絡手段を切れるものは昨日全て断った。

友達でいた頃は本当に楽しくて、その思い出とか記憶に私は執着してしまった。だって盆と正月一緒に来たくらいにクソ楽しかったんだもの…!!

だから振られたくせに、もう一度彼とあの楽しかった頃を…!と思ってそこに執着してしまったんだよね。うわー、ださー。

でもやっぱり私は友達って感情以外の気持ちがあって、楽しいと思う時とそうじゃない時の振り幅で疲れてしまった。

じたばたして。悶々として。

そんな自分を「楽しくない…。今の私もあんまり好きじゃない…。」という状況になって目が覚めました。

彼といる限り自分が自分を好きじゃないって思いから多分この先も抜け出せないなと思って。

私があげたい愛情を彼が受け取ってくれないならそれはもう未来はないんですよね。そこに時間かけるのは本当に無意味なんですよ。いらん、って言われたものを「いやいや!気が変わるかもしれないから!」「ちょっと味付け変えてみたから!!」みたいなのやっても、だいたい何にも変わらないし相手だっていい迷惑だし、そのままの味付けのあなたが良い!って人が他にいるからね。

まぁまぁ精神的にきつくはあったけど、色々悟ったことがあったから、あえて「友達に戻ろう」ムーブかまして良かったな、と。

こういう言い方すると恋愛にドライ、みたいに聞こえるんだろうけど、

いやぁぁぁ、全然ウェット。じっとり、うじうじ、めそめそたくさんした。

めちゃくちゃ好きだったしね。

でも何よりも彼よりも、自分が大好きなので、一緒にいると自分が嫌いになってしまう…!と思ってしまうような人とは「離れるが吉」と思えたわけです。(彼は悪くないんだけど。)

えい!と、LINEをブロックした時には一瞬寂しいけど、なんかすごく自由になった気がして。もう連絡を待たなくていいし、急に晴れやか。

自分の幸せ、彼の幸せのためのいい決断だった。グッジョブ私。今晩抱いてやるからな。

クソほど楽しかった思い出は嘘でも何でもないし、彼から影響受けた良いものはずっと私の中で大事にしていく。ありがとう、いっぱい大事なものくれて。でも私もいっぱい上げたからおあいこな!って言う感じ。

それでまた素敵な人に出会った時「どうも!これが私です!!」って言える自分でいたいのよ。

おおお…そう考えたらこれからめちゃくちゃ楽しくなってきた…!!!どうしよう、石油王とかと恋に落ちたら…!!

そんなこんなで驚くほど元気になってしまった。これを読んだ失恋直後フレンズも、失恋直後のフルコース感情さっさと味わって元気になって欲しい。「楽しかった思い出」への執着を手放そうぜ。

では!

母よしこ(仮名)76歳

母よしこ(仮名)76歳

母親という存在。それは近いようでけっこう遠い。

私の住んでいるところって田舎で、まぁどのくらいの田舎度かって言えば

・電車に乗り遅れたら死んだと思え。だいたい一時間に一本しか来ない。

・周りは基本山。

・玄米を精米するコイン精米所がある。

・回覧板で「こないだ民家の畑で熊がトウモロコシ食ってたからみんな気を付けてねー(いや、どうやって?)」みたいなのが回ってくる。

・車の事故原因が「カモシカがぶつかってきた」「熊が突然車の前に出てきた」と言うのが普通にある。

・夜道で怖いのは人より、熊。

位のいい塩梅の田舎なわけですけど、うちの実家と言うのがこれに輪をかけた田舎で。

上記に加え、

・デリバリーピザの配達区域外。

・回覧板を届けるのに徒歩では無理。(隣家なのに車移動。隣とは。)

・周りが山ってより、山の中に家。

・そこらへん一帯がみんな同じ苗字郵便屋さんが大変。

・街灯がなさ過ぎて私の友達が夜に遊びに来た時「延々と同じ風景だし街灯無いし、いつまでも着かないし、途中からタヌキに化かされてっかと思った。」と涙目で言われた。

という秘境みたいな場所で76歳になる母よしこ(仮名)は兄と暮らしているんですけれど。

たまに実家に行って泊まる時とか風呂を借りるわけですよ。

というか、なぜか母親と言うものはシャンプー等の詰め替えに対しての姿勢がラフ過ぎるところない?

「パン〇ーン」とか書いた容器に入っているのは絶対パ〇テーンじゃないのよ。だいたい皆さまおなじみの「トップ〇リュー」とか詰め替えされてる。多分安いと言う事が彼女のトップバリュー。見た目寿司だけど、食ったら塩むすび。

まぁまぁ、その程度の事はもう日本全国の実家で多分起こっている(起こっているよね?)事象なわけだからもうびっくりもしないんだけども。

でもある日またお風呂を借りる機会があった時、シャンプーとコンディショナー逆に入っていたことがありまして。よしこ曰く「容器が同じ色だからさっぱりわかんないさぁ。(北海道弁)」との事。

いやいやいやちゃんとここに「シャンプー」とか「コンディショナー」ってちっちゃく書いているからね、この通りに入れてね!ね!

って一応娘として割としっかり目に指摘はしまして。

まぁでも字が小さいし、あの年代の人にはさらに見にくいよな、と思っていたらよしこも工夫しなければ!と思ったのでしょうね。その次行ったときはシャンプーのボトルにでかでかと「シャンプー」「リンス」(彼女にコンディショナーと言う概念はない。)って油性マジックで書いてた。しかも縦書き。やたら達筆。ほぼ「世界ふしぎ発見」の時の黒柳徹子。

いやもうお前、容器パンテー〇とかどうでもよくなってんじゃん‥。

でも、親とは言え人の家だしよしこが生活しやすかったらそれで良いわけですから。

と思ってシャンプー出したらコンディショナーだったんだよなー。でっかく「シャンプー」って書いてあんのになー。ねー。なんでこれ無視したー。よしこー。

でもこっちも44年間よしこの娘なもんでそんなことなんか想定内、特段動揺もせずに、じゃあこっちがシャンプーか、つって。なめらかな思考の切り替えでもって「リンス」と書かれている容器から出したのがまたコンディショナーだった時の私の気持ちな。

とりあえずシャンプーどこだよ。出せよ。私はシャンプーが欲しいだけなんだよ。何重にもなった罠しかけやがって。

風呂場でシャンプーらしきボトルを探しても無かったので、端っこにかろうじてあった旅行用の小さいシャンプー(残り僅か。)みたいの使って事なきを得ましたけれども、その後使ったボディソープの容器から出てきた液体が何となく「…これシャンプーっぽくね…?」とかもうその時にはどうでも良くなってきたよね。聞いてるかよしこー。

こんなこと書くと年齢が年齢なので「おや、お母さま少し痴呆が始まってらっしゃるのでは…?」みたいな心配が皆さまの脳裏によぎると思うのですけど、安心してください、よしこは30年前からこのクオリティです。「クオリティの変わらない、ただ一人のよしこ」です。

そういや一年前に死んだ親父が生きているときにそのシャンプーの話をしたら、

「トニックシャンプーを使おうとして手に出したらシャバシャバしてたけど、誰か薄めたんだと思って頭に付けたらやばい匂いがした。母さんに聞いたらお風呂の排水溝の詰まった髪の毛溶かすやつそれに詰めてた。」っつってて、

え?父ちゃんがハゲてるのって?え?まさか?え?みたいな別の疑問が生まれたりもした。

そんなよしこと私は若い頃はまぁ折り合いが悪かった。口を開けば喧嘩してまして。そんなのが嫌で嫌で私が家出して3ヵ月行方不明になったり。(若気の至り。)

ブチ切れたよしこに灯油かけられたこともありますし(気性が荒いよしこ。)、私もよしこに腕ひしぎ十字固めしたこともありますけれども(どっちもどっち。)昨年父が亡くなって、その機会になんか色々お互いぶちまけてお互い反省して、今やっと親子というか、それ越えて色々話せる女友達みたいになれて、ここまで長かったけれども私は照れ臭いながら嬉しいわけです。

おーいよしこ。聞いてるかよしこー。

76歳でアイプチするよしこ。(そして「そんなのしてないもん!」と言い張るよしこ。女子高生か。)

お父さんの前に付き合っていた人は阿部寛にそっくりだったと言い張るよしこ。(思い出補正。)

年々ハンプティダンプティみたいな体型になっていくよしこ。(ほぼ球体。もう移動は転がれ。)

44年くらい言うの遅くなったけど、産んでくれて本当にありがとう。

なるべく楽しく生きて、長生きしてくれよ。

何もかも消えてしまえと思う日には

何もかも消えてしまえと思う日には

そりゃあね、ポジティブとか素晴らしいですよ。

どんなピンチに立たされようが、誰かに怒られようが悲しくなろうが、自分を責めることも他人を恨むこともなく、「でもこれも大事な学びだよね!(きゅるん)(人差し指を立てながら。)(何なら片目つぶって舌も出せ。)」みたいな思考は大事なんでしょうね。うんうん。

………出来るか、ばーーーーーーーーーか!!!!!!!!!

みたいな日ありません?

私はあるよ。

人差し指どころか、中指立てちゃう日。片目つぶるどころか両目ひん剥いて舌出すよね。

※写真はイメージです。

だってさー、大人たるべきものみんな日々一生懸命生きているわけじゃん?早起きしてご飯作って、身支度整えて、ってまぁ、このあたりでだいたい私の場合虫の息ですね。その日のHP8割は使ってる。お家にいるけど「お家に帰りたい…」みたいになってる。お布団に帰りたい。生まれる前に戻りたい。

んでそのなけなしの2割で残りの時間乗り切ってんの。その2割を鰹節ぐらいぺらっぺらに細かく切り売りしながら生き長らえてんの、こちとら。

そんな中、ずっとずっとポジティブとかやってられっかっつうのーーー!!!

それでも生きていかなきゃいけないし、明日履くパンツが無けりゃ洗濯機も回さなきゃいけないわけです。そりゃあなるべく早く元気になりたいわけですよ。

こちとら生を受けて44年、中年期に突入し、脂の乗った頃を過ぎ、現状もうパサパサなわけです。パッサパサ。私の人生と言う名の土壌にひび割れ。これ以上の精神的ダメージは命取り。

なので今回はそんな時に私がいち早く元気になる方法を集めてみました。是非皆さまもお試しください。

1・泣いてみる。

大人になると泣くタイミング逃すじゃないですか。良いんです。泣いてください。方法は何だって良い。映画でも漫画でも過去の悲しい思い出でも良いんですけど、とにかく泣いてください。

大事なのはここからです。泣いて泣いて泣きまくった後に、鏡見てください。

なんか自分の世界に没入して泣きながらも脳内では「儚げに泣く私」「悲しみに暮れるか弱い私」みたいなビジュアルイメージとかしてんですよ、人ってやつは。

でも見てみ、だいたいジャバ・ザ・ハットみたいな顔してっから。

それ見て

「あれー?」つって、

「いやこんなシワとかあった私ー?」ってなって、

「私の全シワ大集合してんじゃんウケるー」ってなって、

「まぁいいや、とりあえず酒飲も。」ってなります。簡単ですね。

2・エロい動画を見まくる

これは出来ればエロ動画の中でもめちゃくちゃクオリティの低そうなやつ選んだら良いです。現実ではあり得ない設定、女優の演技がクソ、その男優の白ブリーフは何の意味が?とか、ゴルゴ13リスペクトなの?とか。突っ込みどころ満載なやつがより効果が高いです。

見ているうちに、「現実がこんなエロ動画見たいな世界だったら戦争とか起こらないだろうな…」みたいな気分になってきます。エッロい事考えているときに誰かと争いたいとか思わないじゃん、絶対。

それでもって延々と裸の男女がくんずほぐれつやってんの見るとだんだん「なんか…人間って生きてるな…」みたいな高尚なゾーンに入ってきて現実問題がどうでもよくなります。その後に

「やっべー。今ちょっと危ねぇゾーン入ってたわー。まぁとりあえず酒飲も。」ってなります。マジです。マジだってば。

3・柔らかいものに埋もれてみる

柔らかいものと聞いて何を思い浮かべますか?

そうですね、おっぱいですね。堂々たる「柔らかくて埋もれたいものランキング1位」です。(私一人調べ。)

あなたが女性なら女友達に頼み込んで埋もれればいいし、男性なら、ちょっとふくよかな男友達を一人用意して埋もれましょう。「あれ…?桃源郷って…ここ…?」って一気に極楽浄土です。

そうしたらなんだか楽しくなってきて、「わーん!テンション上がってきた!とりあえず…飲み行く?」つっておっぱいの持ち主と飲みに行きゃあいいんです。桃源郷の感覚が薄れてきたらまたちょちょいとおっぱい揉んでみたりしながら酒飲めばいいんです。つまみはおっぱいです。

その代わりその友達が元気ないときはあなたのおっぱいを揉ませてあげよう。ギブアンドテイク大事。

(私はその胸持ち合わせていないんだけど、どうしよう。)

【まとめ】

悲しいときはおっぱいのデカい友達と鏡をそばに置いて泣きながらエロ動画を鑑賞しつつ、酒を飲んで一瞬世界の平和に思いを馳せるべし。

拝啓、元恋人

拝啓、元恋人

元恋人と出会って、遊んで、たまーに喧嘩して、すったもんだで先月別れるまでの5年の間に私5キロも太ってたんだけど、えええええ…?この数年で私に何が起こった?もしかして奇跡?

いやいやいや。体重右肩上がり。飛ぶ鳥も落とす勢い。株価なら最高なのに。

久々にまじまじと全裸の自分を鏡で見たら、なんつーか、すごいデブとかじゃないのに、体のいたるところの形が妙っていうか、「なぜあなたがこの場所に?」みたいなところに肉が大移動していたりしてた。主に背中。背脂。

ちなみに乳だけは周りに流されることなくスリムさをキープ。いや、空気読め。お前のスタンスぶれなさすぎんだろ。たまには周りに流されろ。

多分このままのペースでいくと昔話で見た、穴の中で太ってしまって出られなくなった狐みたいになる。(もしくはドアから出れなくてクレーン車発動してでっかい窓から運搬される人。)

ただでさえ世の中に大して貢献もしないぼそぼそした人生送ってんのに、ぼそぼそな上ぶよぶよとか。ぼそぼそでぶよぶよでよぼよぼになるとか。

なんか嫌。特に語感が。

確かにこの5年間、全裸で鏡を見る時は薄目で乗り切っていたし、体重計はただの前衛的なインテリアだと思ってきた。(埃付き。)

ずっと細かく動いていればブレて見えて、デブなの分かんないんじゃね?とか言うせこいライフハックを思いつき、恋人の前で披露もした。デブの模範生である。

しかしそんな行為とはお別れするとき。さようなら、お酒。さようなら、深夜のサッポロ一番塩ラーメン。さようならさようなら。

思い出すのは、先日別れた元恋人に「最近太った気がする」と言うと、

「全然太ってないよ!」

「ちょうどいいよ!」

「まだ大丈夫!」

「やばくなったら絶対言うから!」

とずっと言ってくれていたことなのだけれど、

おい、元恋人よ。お前の「やばくなったら」の「やばい」のエリアは一体どこだ。

今までそんなことを言われて「そうか?(えへえへ)」と納得していた私はここ数年で最高体重ですよ、ともう届かぬ声でお伝えしたい。

こんなに太らしてどうするつもりだったんだ、と。畜産か、と。良い値が付くのか、と。

そもそも元恋人は美的センスと言うものがちょっとずれていて、

私が酒でパンパンになった顔に目くそ付けた起き抜けの顔すら「わー!今日もかわいいねぇ!」と言っていた人なのである。お前のその目は飾りか。

まぁうちの猫にも「太っていてかわいいねぇー」と話しかけていたし、カマキリを見て「うぉー!!かっこいい!」とか言ってたから、私も同じ感じなのだろう。

昨日マジでマジで非常にしんどい事があって、分かりやすくご飯食べられないという状況に陥った。

これはよろしくないと思ったので今日は無理やり食べていたがちょっとオエっとなる。こんな感覚は久々だった。

それで思い出した。

元恋人といたときに私はこんな風に情緒を乱されることなどなかった。ただただ安心に包まれて、猫みたいにめちゃくちゃに可愛がられて、5年を過ごした。

その中でぬくぬくと好きなものを一緒に美味しく食べ、一緒に飲み、私はふくふくと太っていった。

辛いことがあってもただ話を聞いて「大丈夫だよ、あなたは素敵なんだから。」と繰り返し繰り返し言ってくれた。

私はこの5年間本当に幸せだったのだと、彼に幸せにされていた5年間だったのだと再確認する。

手を離した側の人間は、思い出に浸って涙ぐむことも、ごめんねと謝る権利もないし、さよならを伝えたらあとは何も出来ることなど無い。私はそう思っているから別れた事で泣いたりしなかったけど、幸せだったんだな、と思った時、その時だけはちょっと泣いた。

元恋人へ。

お前はどうせ勝手に幸せになれるから幸せも祈らない。

1年後にはまた楽しく生きているだろうと分かっている。

ここのところは私の心からすこしづつお前が居なくなってきてるけど、この5年間お前が教えてくれたものはしっかりと私の血肉になっている。本当に。だから私はこれから私を幸せにすることだけ考えていく。辛いことがあってもお前が言ってくれたみたいに、今度は私が私に素敵だと言う。

それを教えてくれて、ありがとう。

だけどこれだけは真顔で言っておきたい。

「いいなぁ~脚太くて。」

これは悪口だから次付き合う女の子には言っちゃ駄目なやつだからな。覚えておけ。マジで。

8年前の私へ

8年前の私へ

もう8年も前の話になる。

年も性別も住んでいるところも全然違うのに、とても気の合う友達が出来た。

人に対して割と時間をかけて仲良くなる私だったのに、彼に対しては最初から全くもって遠慮をしなくて済んで、それがとても心地良かった。

遊びたい盛りの彼の女事情も腹がよじれるほど笑いながら聞けたし、彼も私が女であることを認識はして割と丁重に扱いながらも、それでも性別を意識せずに対等に接してくれた。一緒にたくさん酒を飲み、小学生みたいなアホな話もしたし、真面目にこれからの仕事について語り合ったりもした。

ただただ人間として繋がっていたように思う。

それはもうはっきりと彼の事が大好きだったし、多分彼も私の事を大好きだった。

彼は陽気で、話がうまく、語彙も豊富で、その頃の私が長時間話していても楽しく疲れない数少ない友人であった。恋愛感情なんて全くなかったしだからこそ何でも言えたのだ。

だけれどいつしか彼を知るたびに私の中の気持ちがちょっとづつ形を変えていって、あれ?と思った時には彼が関わった女の子の話を聞くたびにもやもやしたり、なんだか胸が苦しくなることがあった。

なんか、これは、ちょっと、やばい。

そんなことに薄々と気付きながらも、敢えてその気持ちに名前を付けることはせずにいた。

名前をつければ否応なしにそこにフォーカスが当たり、もっとおかしなことになってしまう。私たちが気に入っていたこの関係が失われてしまう。何でも話してくれる彼が好きだったし、私は彼にとってそういう相手でいたかった。

だから私はぼんやりとその気持ちがふくらんでいく事に一切の無視を決め込むことにした。

また心のどこかで気付きながらも「いつかこんな気持ちは無くなっていくだろう」と楽観的でもあった。

だけどある日「これはもう駄目だ」と思う出来事があり、私のずるするとした気持ちに決定打が打たれた。私この人が好きだ、この人が本当に好き。

認めざるを得なかった。その時に完全に自分の気持ちに降参することにしたのだ。

分かっているのは、彼は私に恋はしていないと言う事だ。彼の一挙手一投足から度々それを思い知らされ頭で分かってはいるのに心がギシギシと痛んだ。

彼が何も気にせずいろんな話をしてくれるのも、私の前で泣いたりできるのも、酔っぱらった勢いで変なメールばっかり送って来るのも、私たちが「何を話しても平気な相手である」といった関係だからだ。ただそれだけだ。分かっている。

私は久しく忘れていた。恋とはかくありき。こんなにも心を波立たせるものだった、という事を思い出して悶絶した。

表面では友だちの面構えを貫きながら、彼の色々に心をグラグラと揺らし、

そんな自分が情けなく、みっともなく、誰も見ていないのに恥じた。

彼は近いうちに今よりも離れたところに引っ越すことも知っていた。

もうこうなったらなんてことないただの実験を持ちかけるような雰囲気で、飲もうぜ!って言うのと変わりないノリで、1回だけでも彼に抱いてもらおう。

やけくそな気持ちもあったのもあったが、そうでもしないと私は彼に一度も触れないままのような気がした。何も手に入らなくても、せめてこの手で触れたかった。

お互いにパートナーはいない時期だったので、そのこと自体に何ら問題はないと思ったし、彼もその頃はそちらの方面においては大人としてのルールを守りながらも奔放に楽しんでいたので、まぁ断りはしないだろうと小狡い計算もしていた。(いやな奴。)

そんな私の中のドロドロを努めて感じさせないように、「ちょっと楽しい事しようか!」位の感じで話を持ち掛けた。その程度の温度感なんだと彼が思ってくれることを、私も望んだ。

彼は驚いていたけれど、私の望んだ温度感で快諾してくれた。

そして彼と会い、一緒の部屋に泊まり、願い通りそんな感じの事をした。

その事でより一層「彼にとって私はただ気の置けない友達」であると言う事を突き付けられた。

それは彼に触れる前に頭の中で考えていたよりずっとずっと悲しい事だと知った。

誤解のないように、そして彼の名誉を保つために言えば、決して雑に扱われたとかでもないし、ひどい事を言われたわけでもない。友達として尊重してもらったと思う。だけれど私は傷付くくらい現実を思い知った。

今まで笑って聞いていた話も、もう作り笑いも出来ない。相槌も気の抜けたようになって、楽しそうに話している彼に申し訳ない気持ちと、自分が可哀想だという気持ちでぱんぱんになってきた。

自分で勝手に好きになって、自分で望んでこんな風なことをして、何が可哀想か。

本当に馬鹿でくだらない女だ。本当に本当に。

彼の泣き顔を初めて見たときに、もっとこの人を笑わせたいと心の底から思ったのじゃないか。

なのに何にもごまかしきれなくて、笑えなくて。彼にも失礼な態度をとって。良心とエゴがせめぎあって、小さい私の心が限界であった。

自分の気持ちを言ってしまえば一生この関係は戻ってこないことも知っていた。

分かっていながら、私は世界で一番私が可愛く、ただ私のために彼に気持ちを伝えた。

彼は思ったより驚いていた。全然気付いていなかったとも言った。明らかに動揺していた。

だけれどやはり彼らしく、丁寧にきちんと言葉を使って、私を諦めさせてくれた。

それでも、もちろんもうああいう事はしないけどこれからも友だちでいられる方法はないのかとか、俺がそういう女性関係の話はしないようにすればいいのではとか、いやでもそれじゃお互い気を遣うよね、とか、そう言ったような事を言葉が整列しないまま彼は言っていたけれど、結局その日で彼と私の関係は終わることとなった。

もうこの人に会うのは今日で最後だという気持ちと、やっと言えたという気持ちと、いろんな気持ちが並行してそこに在り、笑いたいような泣きたいような不思議な気持ちでいた。

電車乗るまで見送るという彼をありがたいと思いつつ、断った。

改札からずいぶん離れたところで感謝の気持ちとお別れの言葉をお互い告げ、軽くハグをした。

どうしても泣きそうだったので切符を買う事だけを考えて券売機に向かう。

やはり冷静じゃないのか、ただ切符を買うだけなのにいつも以上に手間取りもたもたとした。こんな時にも私はどんくさいな、とちょっとだけ笑えた。

改札を通る前に儀式的に振り向いたら、彼はまだ先ほどのところにいて、私に向かって大きく手を振った。急に我慢できずに顔が歪み、みっともない顔で私も手を振った。

電車を待っている間、彼の事を考えた。

本当はもっともっと伝えたいことがあった。

彼の素敵なところもっともっと伝えて、もっといい気分にさせてやりたかった。

笑うと横にぐっと広がる口とか、声が大きいところとか、酔っぱらうともっと早口になるとこ、意外なところで弱気になるところとか全部好きだった。

歩くのが早いとこととか、寝言がひどいところとか、彼が自分で欠点と思っているところだって、私にとっては一つも欠けていなかった。

恋もしていたけれど、大事な友だちだったし、時には母親のような気持ちで君を愛しいと思った。

彼への餞みたいに、それをもっともっと真剣に伝えればよかった。大人ぶって平静な振りなんかしないで必死に伝えたらよかった。

いつも後から気付く。好きな人と会う時はいつも最後だと思って会うべきなのに。惜しむなよ。ビビるなよ。本当に。

電車の中で私は、リュックに顔うずめて、しっかりと泣いた。

その後は少しづつではあるけれど、彼がいた私の心の場所が徐々に小さくなり、何かにとって代わるようになり、そこに違うものが入り込んだり、またいなくなったり、また何かで埋まったりした。ちょっとずつ元気になっていつもの私になった。あの時はあんなに寂しくて息が苦しかったのに、8年たった今ではすっかり甘ったるくて赤面するような思い出でしかない。

人と出会って別れるってそういう事なのだ。出会いは嬉しくて別れは悲しい。どんな思い出もいつか色が抜けていく。

だけど相手に貰ったものだけ時間をかけて綺麗にろ過されて、その人の中に残っていく。

だから8年前の私よ。

大丈夫。全部大丈夫だよ。心配いらない。

お前がした行動は変だったかもしれないし、全く格好いいものではなかったけど、8年後の私は正解だと思っている。

だから腐るな私。たくさん泣いてもいいから笑うこと忘れるな。

本当に本当に、あなたは大丈夫だから。

以上!8年前の私へ。

2031年7月の私より。

おっぱいについて考える

おっぱいについて考える

おっぱいって何だろう。おっぱいは何のためについているのだろう。主に私のおっぱい。

オス!みんな元気?みんなの家族も元気?

ところでなんだけど、みんなおっぱいとどんな風に向き合ってる?

初恋に敗れたあの時も、初めて親に嘘をついたあの夜も、仕事で嫌な事があって泣いたあの夜も、あなたの側にいたわけじゃん、おっぱいって。ただそこにひっそりと。人によっては堂々と。何も言わずただ一心同体でそこにいてくれた訳じゃん。ちょっとした彼氏よりいい仕事するじゃん。

そんな酸いも甘いも共に過ごしてきたおっぱいについて真面目に考える日が来たんじゃないかって、私思ったんだよね。

ねー!!

…いやちげぇの。私今年のGW9連休でさ、最初はひゃふー!つって友達とリモートで酒を飲み、実家のバーベキューで酒を飲み、なんなら何もなくても朝から飲んでいたら、ふと「え、私のおっぱいってなに」みたいな思考に陥っていてですね、多分連日のアルコールで脳が奈良漬けみたいになっていたんでしょうね。怖。酒って怖。

まぁ別の記事でもサラッと触れてはいたんですが、何を隠そう私って近代まれにみる貧乳なんですよ。

戸籍上は正真正銘女なんで、温泉とかでそりゃあ他人の乳を何乳も見てきましたけど、悪いけど貧乳ぶりで私に勝てるものはいなかった。もうぶっちぎりだからね。ぶっちぎりの貧乳。三馬身差の余裕のゴール。歴代貧乳アワードで優勝、後に多分殿堂入りもしてる。

つうか貧乳って言うか、もう貧しいとか豊かとかいう問題じゃねーの、物理的に有るか無いかで言ったら「一見存在しているようには見えないがある可能性も否定しきれない」位の感じの心許ない感じなわけです。私のおっぱいって。

ただおっぱいと言う概念だけがそこに在る。その概念だけで虫の息で女やってんの。

長男には

「胸側であるか背中側であるかはおめぇの顔の向きで判断している」旨の事を言われ、

次男もしょっちゅう私を貧乳ネタでいじって来るので

「つうか隠しているだけで実はお前が想像している3倍はデカいんだぞ」と言ったら

「え…?ゼロには何かけてもゼロだよ…?」って不思議そうな顔をされた。

彼にとって母の乳の質量はゼロらしい。

挙句の果てに私を産んだ母ちゃんまで風呂上がりの私を見て「可哀想…」とつぶやくなど。

いや、私の原材料お前だかんな。(小さい)胸に手を当ててよく考えろ。

ってここまで書くと思うじゃん?

「そもそも細身体型で贅肉がないのでは?」みたいなさ。乳だけじゃなく全身スレンダーなんじゃないのー?気にすることないよー?みたいな優しい幻聴とかも聞こえてくるじゃん?(アル中初期症状。)

ところがどっこい。

44年間生きてきたけど、一瞬たりとも痩せていた時代が思い出せないんだよねー、多分前前前世くらいまで遡らないとないんだよね、その記憶。

なんせ生まれたときが3970gって言う。

参考までにいうと当時の赤子の平均出生体重が3.2㎏だからね。約1.25倍。25%増量サービス。どっかのカップ麺の売り文句かと。むしろ母ちゃんよく産んだなと。どうなってんの人体の神秘、と。

そんな星のもとに生まれていますからね、周囲の期待を裏切ることなく今も何かそこそこデカいわけです。

腹とか太ももとか顔とかケツとかまんべんなくたわわに実っているのに。何なら毎年前年の収穫高を更新する勢いなのに。

胸エリアだけが毎年不作。多分土地が痩せてる。

でさ、話変わるけどフリーザって知ってる?

あの人さー、第一形態から始まって、第四形態まで進化するのね。

んで見た目においては第二形態ですげーデカくなって、いや今でこのサイズって最終形態どこまで大きくなるの?!って思ったら最終形態はなんか小さくなっちゃってさ。デザインも最初に比べてつるっとしててさ。

でも最終形態つえーの。めちゃくちゃつえーの。マジこえーの。夜道で合ったらちびるくらいこえーの。

私の胸もそれと同じ。最終形態なだけ。見た目あれだけど、なんか、多分、つえーから。

(思わぬところで自分の胸が時代を先取りしたことに気付いてオラ全然ワクワクもしないけれども、全世界の女子はみんな私に続け☆)

老化と私

老化と私

年々脳の記憶装置が劣化してきている。

多分、日常生活の大体の名前を「あれ」とか「これ」とか指示詞で乗り切っている感ある。

そして芸能人の顔や名前はおろか、息子の友達のお母さんとかも結構な割合で覚えられない。顔と名前が一致しない。親と子のセットが分からない。もう親子は紐でつないでいてほしいし、名札着用を義務付けたい。

私と言えば家に一日中引きこもってパソコンをポチポチする在宅フリーランス(ほぼ引きこもり)なんですけど、今まで一人で仕事していたのが2月からチームに入ってお仕事するようになったのでございます。

いやー、人と喋れるって良いですね。

それまでどんなに仕事に詰まっても、一人。なんや訳の分からないバグが起こっても一人。納期前に泣くのも一人。

いくら一人が好きって言っても限度があるだろうと思うくらいの孤独。

咳をしても一人の尾崎放哉状態なわけです。

それが今じゃどうでしょう、どうしてもわからないことがあればチームにチャットを飛ばし、それを先輩方が助けてくれるわけですよ、あああ人って温かい…人って良いね…ニンゲン…ヤサシイ…ニンゲン…スキ…タベチャイタイ…

一人でやっている頃は誰にも会わないから化粧もしないし、何ならお風呂とか3日くらい入らなかったからね。加齢臭の熟成が進むことこの上ない。もう「女として~」とか以前の問題。「人間として」やばいのは薄々気付いていた。

もうねー納期間近で三日風呂入っていない時とかもはや人間の匂いじゃないわけ。私の枕から昔外で飼っていた犬のタロの匂いがしたからね。(享年17歳。)

それが今ではいつ来るか分からないビデオ通話の為だけに毎日お風呂に入るようになりました!お母さん!私、人間に戻ったよ!

で、ここでチームの皆さんと否応なしに顔を合わせることになるのだけども。今回こそは顔をしっかり覚えていかないと仕事にも支障があると思い、チームメンバーの各々の特徴をメモしていく事にした。記憶力は労働力でカバーである。

一人目のAさん。

ふむふむ。とてもまじめで誠実そう。眼鏡をかけていて短髪。清潔感漂う風貌。丁寧。若者。

「Aさん…とても真面目で誠実そう。眼鏡をかけていて短髪。清潔感漂う風貌。丁寧。若者。」とメモ。まじまじ顔を見たおかげで目をつぶってもぼんやりとだが思い出せる。瞳を閉じれば瞼の裏にいる。

数日後、二人目のBさん。

ふむふむ…Bさんは眼鏡…短髪…清潔感…物腰柔らか…え…?デジャブ…??

まさかのBさんも「短髪眼鏡清潔感丁寧若者」。いや…でもBさんの方が若干面長…?あ、前髪がちょっと長いか…??

この時点で目を閉じるとAさんとBさんがコラージュされたような顔が思い浮かぶ。記憶のぼんやりさが加速していき、もう私の中では彼らは双子。ああああ…。

…大丈夫、前髪がちょっと長いほうがBさん、まだダイジョブダイジョウブ…

Bさんのメモに「Aさんよりちょっと前髪長い」と書き足した。

ええとそれで三人目のCさんなんですけど、まぁもう流れは出来上がっていたので読んでいる人は全くびっくりしないと思うのですけど、「短髪眼鏡清潔感丁寧若者」だったんだよなぁ…。(虚ろな目。)

まさかの三つ子爆誕。

いや、でも確かCさんは丸眼鏡だった。うんうん、違う違う、他二人はスクエアタイプだった、多分、うんうんうんうん。

Cさんメモに震える指で「丸眼鏡」と書き足す。

そんな感じでビジュアルの記憶はもうぼろ布のごとく部分的にしか機能していないし、一部屋に三人混ぜられて「さあて、どれがだーれだ☆」なんておちゃめなことやられたら、もう全然分からない自信しかないし、アハ体験くらい凝視してウォーリーを探せくらい血眼になると思うけど、一応ビデオ通話前には名前が出るしね!大丈夫!

(多分だいじょばない。)

私と縄文時代

私と縄文時代

最近は現代社会にそこまでの不満はないが、若いころはいろんなことに躓くたびに「あー。縄文時代に生きたかった。」とよく思った。

人間関係、親子問題、他人と比べる土俵が多すぎることへの不安、お金。

きっと便利にはなったのだろうが、それと引き換えに無くした心の安寧と言うものが、ただシンプルに「生きる」と言う事をしていた縄文人にはあったはずだ。

まぁ高校時代日本史で1点取った私が言ったところでなんのリアリティもないんだけども。

でもさー、結局今わかっている縄文人の暮らしだって、発掘された土器とか、環状…?列石…?とかからなんか頭のいい人が想像力で補って「推定」されているって事でしょ?だったら私が縄文人のいる時代を妄想したって全然悪くないよね。つうかまず「縄文人」っていう名前だって現代人が勝手に付けているわけだからね。にしても「縄文人」って。もっとなんかなかったー?って思う。土器に縄状の模様が刻まれていたからって、もうそれをこの時代のスタンダードみたいに思わないで欲しい。

絶対いたはずなの。縄の模様以外の模様を付けていた人とか、土器の取っ手のところに繊細な蝶々の細工とかした人も。


”あたかも生きているかの如くリアルで繊細な蝶をあしらった取っ手付きの小型土器(主にクワイポタージュなどを入れる。)は作者不明である。取っ手に群がる一塊の粘土で作った無数の蝶々。羽の薄さは0.01ミリとも言われている。現代で言えばオカモトの001と同等の厚みである。

もちろんそのような芸術性を持った作品はほんの僅かであり、通常の家庭でも土器や食器は作られていたが、そのような用途の物は繊細な細工は施すことなく実用性重視であった。

本来土器の原材料となったキメの粗い岩堰泥(がんせきでい)では大雑把なデザインがせいぜいであった。そして火の通りを均一にするため、また持ち運びする際に滑りにくくするために表面にわずかな溝を木の棒で一本ずつ付けるのが一般的であったが、土器の表面全てにそれを付ける作業は非常に時間を要した。(主にその家の長男の仕事であった。)

暗い竪穴式住居の中で、背を曲げ、黙々と細かい筋を刻み付けるだけの仕事。

地味な作業のため華がなく、村の女性が毎年決める「結婚したい男の仕事ランキング」では常に最下位であった。(1位はイノシシの生態を知り尽くし科学的に狩りをしたイノッサーという職種。知的なイメージで人気があった。)

そのやりがいのなさと大変さの為、いろんな村の長男が今で言う「うつ状態」に陥った時期があった。

長老たちは「有事!」との判断で会合を開いた。

土器に模様を付けなければ食事のクオリティ、つまりは生活のクオリティ(QOL)が著しく落ちてしまう為にこの仕事をなくすことなどできない。しかしその仕事をやった者はいつの日か呪われ、ぶつぶつと独り言を言ったり、急に衣服を脱ぎだし「つるつるでいいだろう!!?なんで溝なんだよ!!!」と叫びながら朝まで踊り狂う等の奇行を繰り返している。

この模様を楽に付けるのに何かいい案はないか?その様な事を話し合った時、誰かが

「この間、木の皮を撚って作った紐を土器に押し付けたら紐の細かい模様で土器が凹み、うまい具合に模様になった。完成した土器で試しに山イタチの煮込みを作った。火の通りもちょうどよく、模様を付ける時間としては今までの10分の1程度。どうだろう。」

ほう、と皆感心したように目を見開き、翌日から試作ではあるが多くの「紐型文様」の土器を作り始めた。話に聞いた通り模様も簡単、煮炊きにも適した土器が出来た為、ワンクールごとに行われる「MURABITO KAIGI」でその製法が公式認定された。

(それがのちの「縄文土器」である。)

そして土器を作ることに余裕が出てくると、皆一斉にデザインに凝り始めた。

まだ結婚していない長男たちの間で取っ手を付けたり、性能的には何ら関係のない装飾を付けるのが流行り出した。今まで日の目の見なかった土器作りの長男たちの鬱屈した「モテたい」という気持ちが実用性よりも見た目の華美さに走る要因となったようだ。

彼らの悲願は叶い、「土器作り」は翌年の「結婚したい男の仕事ランキング」の5位に食い込んだのだ。

しかしデザインを魅せる事に走りすぎた為、耐久性や使いやすさのクオリティは当然下がった。本来の目的から離れた土器を作り続ける若者たちに、長老をはじめ年長者たちは眉をひそめた。

そして再びの「MURABITO KAIGI」にて「土器は縄で文様を付けたもの以外は認めない。これを制作したものに対しては罰として1か月高床式倉庫の掃除を任ずる。」とお触れを出したのであった。

最初は蝶々やら花やらの装飾にきゃっきゃしていた女子たちも

「なんか結局スタンダードなのが使いやすいんだよねー」

「つーか、あいつモテるために必死じゃね?」

「いや、目がマジすぎてきっしょww」

みたいな意見が溢れ、お触れよりもそちらが効力を持ったというのが実際の話の様である。

余談ではあるが、この紋様を付けるときに使った紐は色々な用途に使われた。

紐に土器を焼いたときに出来た煤を付け、白い石板などに押し付け転がすと何やら動物や蝶や鶏や虫に見えるような柄が付いた。それを見て何に見えるかと皆で遊ぶのも定番であった。

後はなぜかその紐が、倦怠期を迎えた夫婦に送るのが習わしであり、紐を渡した翌朝には、あんなに冷え切っていた夫婦も腕を組み高床式倉庫にいそいそこっそりと向かったりするのである。

そして高床式倉庫から長らく帰ってこなかったりする。そこで何をしていたかとかは全くさっぱり分からないのだけれど。

紐のおかげで仕事は楽になり、遊戯も充実、夫婦仲まで良い。なぜか少子化問題も解決。

そう、そんな時代、それが縄文。”


縄文時代で大好きな君と出会ったらどうだったろう。

言葉はあったか。歌はあったか。

我々が分かり合う術はあったか。

距離が離れていれば出会えなかったか。

でも安心してほしい。

酒はあったらしいから。(酒があればすべて解決。)

健康診断・地獄

健康診断・地獄

別に気にしてなどいなかったわけです。私が貧乳だなんてことは。

ほら、服とか着たとき、ラインも崩れないし、表面積とか少ないから、冷えないような気がするし、あと、あと、

まあ、後は特に無いんだけど。うん。

とにかく別によかった訳です、お胸の辺りの存在感がなくても。私、生きてるし、息してる。

実家の玄関に置いてある土産物のこけしがごとく、存在感を消しながらただそこにあるインテリアとしての地位を確立していたのです。

しかしね、数年前に乳癌健診と言うものを初体験しましてね。

乳癌健診って風の噂に聞くに、アクリルの板二枚でお胸を挟んで、ぎゅーって潰して、腫瘍がないか見るらしいんですよ。

はっ、として、見たよね、胸を。

その存在感の無さに、持ち主ですら忘れていた、私の胸の辺りを。

…ええぇぇ……

…これさ…挟めるの……?

まあまあまあまあ。

まぁまぁまぁまぁまぁ。

私基準では「挟めない」でもさ、医療人にしたら、「や、大丈夫ですよ。」「挟めない胸とか無いです。」みたいな感じかもしんないじゃん?プロだから。各種多様な乳をなん乳も挟んできたわけだから。

だから対策に関してはノープランで挑んだ訳です、今日、健診という日を。

まずは問診。

常用してる薬はあるかとか、

ペースメーカーは使用しているかとか。

んで看護師さんが最後に

「あと…豊胸手術とかはなさってますか?」っつって。

ちらっ、て胸を見て。

…ねぇよ。断じてなさってねぇ。

つうか、なさってこの仕上がりなら、とんだ医療ミスだよ。

そんなピリッとした空気を後に、健診に挑みまして。

つうかね、乳癌健診のおまけみたいに、子宮がん検診も受けたんだけどね、こっちはもう人生で三回目。ちょっとしたベテランの域。ちょいちょいーってあの辺りの細胞取るだけなんで、全然余裕。

せっかくだから向こう三年くらい分まとめて取っていただいても全くダメージないくらいは慣れっこ。

さりとて乳癌健診。

初顔合わせ。怖い。

乳癌検診の部屋には、なんか高そうな機械と美人のお姉さんがいた。

上半身だけ一糸まとわぬ姿になり、私はその時を待った。

お姉さんが、

「あー、じゃあこちらの機械に胸をのせてくださいねー。」

って何気なく言うけど。いやいやいや。

…のせる胸、ないけど?

持ち物に書いてた?

「バスタオル」ってしか書いてなかったけど?持って来たけど?

「挟める胸」って書いてた?持って来てないけど?家にも無いけど?

そしたら看護師のお姉さん、私の胸をじっと見て、「ふむ」みたいな顔してたと思ったら、

失礼しまーす!とか言って、私の胸をかき集め出した。挟む為に。

でも挟むには足りない。うん、だよね。すげぇ知ってる。誰よりも私が。

なんかお姉さんちょっと焦って、

腕上げてください、

あ、やっぱり下げて、

やっぱり下げないで、

みたいに、人体構造的に、無理!みたいな方向に私の腕を誘ったあげく、これじゃだめだと悟ったのか、腹の方とか、背中の方とかから肉を集め出して、いやもう神龍出す気じゃね?位の勢いで集め出して、

やー、それ絶対に胸じゃねえけど、って肉も検診に参加する羽目になってるけど、良いの?大丈夫そ?

お姉さん焦ってる。

私、もっと焦ってる。

もうね。ドラえもんの秘密道具に「チリつもらせ機」って言う、自分の欲しいものを世界中の人から少しづつもらって一個にして手に入れる、せこい機械があんだけど、

あれ使うなら、今だ、って思った。

みんなー!オラにお胸をー!!って。

思った。うん。

なんかもう、うっすら汗ばんでるみたいな看護師さんが、

「じゃ、じゃあ挟みまーす!」

っつって、機械をウィーン、っつって、動かしたら、例の噂のアクリル板が私の胸を(そして背肉と腹肉の寄せ集めを)ぎゅーって押し潰した。

い…

いってえええええええ!!!!

いだいいだいいだいいだい!!!!

もうね、ちぎれるかと。根本から。

容赦ねえの、他人事だと思って。

お姉さんは、はい、力抜いてー、って、

抜けるか!痛ぇよ!!

朦朧とする意識のなか、薄目でアクリル板に挟まれるインテリア乳を見たら、すっげえ潰されて、石割桜(盛岡のお菓子。生産中止。)みたいになってた。変わり果てすぎ。

………こんなの私の知ってる乳じゃない……!!

やっとアクリル板に解放された私とお姉さん、もう、余力、ゼロ。もう戦えない。スライムにもやられる。ただの屍のよう。

おつかれさまでしたー、って言うお姉さんに、おめぇもな、って心でつぶやいた。虫の息で。

そんなこんなで、ちょっとした地獄見て、でも終わったからほっとしてたら、

この地獄、毎年くるらしいって。もう、出家したい。